alexander’s journey ankara turkey
前４世紀、アレクサンドロス大王はペルシア討伐に出発
中東を経てインドにいたる旅を２１世紀に歩きます
アンカラは現トルコの首都ですが、たいへん古い町で、一説ではその起源がヒッタイト時代に遡るといいます。
「東征記」によれば、『アレクサンドロスはガラティアのアンキュラに向けて進発した』、そこに『大王を訪ねてパプラゴニア人（小アジア中北部）の使者一行が臣従を誓いに来た』とあり、それへの大王の対応が短く記述されているだけです。
ガラティア： （アレクサンドロス時代以降の）小アジア中部の古名
アンキュラ： アンカラの古代ギリシア名
このように東征記でのアンカラの記述は短いのですが、なにぶん首都であり、イスタンブールに次ぐ第２の大都市ですからご紹介します。
アンカラはアナトリア高原の中央部にあって、標高８００～１０００ｍの都市です。このように標高に巾があるのは、街並みが起伏に富んでいるためで、丘陵の斜面にカラフルな家々がびっしりと建っている景色はなかなか壮観です。
その起源がヒッタイト時代といいましたが、実際には都市の成長はアレクサンドロス時代以降のローマ時代で、現在見られる旧市街の基礎が築かれました。その後はイスラム時代、そしてオスマン帝国時代と様々な歴史・文明を経てきました。
２０２２年、久しぶりに再訪したアンカラは、その変貌ぶりに驚かされました。
実はトルコの表玄関は、事実上、第１の大都会イスタンブールであり、アンカラは１９９０年代の初回に訪れただけで、その後なかなか立ち寄る機会がありませんでした。しかしアンカラには有名なアナトリア博物館があるので、久しぶりにアンカラ行きのチケットを手にしたのです。
古い記憶のアンカラは「イスラム色が濃く、全体にくすんだ色の都会」といったイメージでしたが、現在のアンカラはヨーロッパの大都市と変わりない明るく賑やかな町です。町全体がリニューアルしたような雰囲気です。
そして何よりも驚いたのが、目抜き通りのオープン・テラスでビール・ジョッキを傾ける華やかな男女の姿でした。これは田舎から出てきたトルコ人なら、まさに肝をつぶしそうな光景です。
近年トルコは全土にわたり大変貌を遂げ、長らく停滞中の日本人には驚きの発展ぶりです。でもその一方で、飲酒に関しては厳格なイスラム色を残しており、地方部ではアルコールを提供するレストランを探すことさえ困難です。「アレクサンドロスの旅」はそうした地方部が中心ですから、筆者もまさに田舎者の感覚で、本当に度肝を抜かれました。
最後になりますが、目的地のアナトリア博物館は凄い見物です。トルコへ訪れるたび、その歴史の深さや密度に驚かされます が、その一つの集大成がここで確認できます。旧市街の丘上の閑静な場所に建つ古い博物館は、内部がモダンにリニューアルされており、なにより一級の展示物で溢れています。
Museum of Anatolian Civilizations Ankara
見学に丸二日を費やしましたが、それでも時間が足りないほど内容が詰まった博物館で、アンカラ旅行のハイライトであることは保証したいと思います。
さて次にマケドニア軍は、有名なカッパドキアに向かいます。
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参照「図説アレクサンドロス大王」森谷公俊 /鈴木革 「アレクサンドロス大王東征記」アッリアノス
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