ハラッパ 宝の山!? パキスタン

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インダス・ハラッパ文明のハラッパ遺跡を紹介します。

Indus Harappan Civilization

近年はインダス文明をインダス・ハラッパ文明、またはハラッパ文明と呼ぶことが多く、私自身も混乱しておりました。この機会に調べたところ、最新研究による文明圏の地理的な拡大から、より広域を示す意味でIndus Harappan Civilizationとするのが好まれているのだそうです。これからは、私も流行りに乗ることにします。

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が首都イスラマバード ●がハラッパ 過去紹介したモヘンジョ・ダロ 大都市カラチ ピンクはインダス流域

以前、モヘンジョ・ダロを紹介しましたが、ハラッパはインダス上流域の支流であるラビ川の近くにあります。日本語ではハラッパーと長音表記もありますが、ここではハラッパとします。
この名称は、元の都市名が不明のために現在の村名を充てたのですが、地元伝説では「ハラ/洪水」と「パ/都市」で、すなわち「洪水の都市」という意味もあるようです。

ハラッパ パキスタン harappa pakistan
ハラッパ遺跡 mound AB central area  最も立体的な地区 水路網が見える

前置きが長くなりましたが、ハラッパはラビ川上流の大都市ラホールから南西約200kmに位置します。パンジャブ州都ラホールの喧噪と排気ガスから抜けると、空気は天然の砂埃と動物的な田舎臭に変わります。地図で見ると短い距離ですが、荒れた道路とノロノロ運転の超過積載トラックに付き合うので4~5時間の長旅です。

パキスタン 名物 デコトラ pakistan truck
パキスタン名物 デコトラ なんと国際空港では模型が売られている local slowly truck

ハラッパには2回訪れましたが、初めは情報不足のなか個人旅行で、博物館の併設宿舎に泊まりました。しかも季節は5月、モヘンジョ・ダロほどではなかったのですが、かなり暑くて古いエアコンの轟音が記憶に残っています。2回目は12月、公的な旅でしたから近くの町で快適なホテルに泊まり、初回の思い出が悔やまれた次第です(笑)。

ハラッパ パキスタン harappa pakistan
ハラッパ遺跡 mound F granary  穀物倉というタイトルの整備された区画

ハラッパ遺跡は平地から比高10~15mの遺丘になっています。遺丘とは長期の人間活動による人工丘で、むしろ英語のマウンド(mound)やアラビア語のテル(tell)が分かりやすいでしょうか。

ハラッパ遺跡 見取図 パキスタン harappan map pakistan
ハラッパ遺跡見取図 現地の超絶汚い看板を画像ソフトで仕上げました 遺丘が長靴に見えませんか?

空から遺丘を見ると、つま先が東を向いた長靴のような形をしています。この歪な丘は南北1km、東西1kmほどあって、その広さはモヘンジョ・ダロと比べても遜色がありません。ただ遺構の状態が悪く、ほとんどが基礎部分だけの平面的な都市跡です。

というのも、イギリス統治時代の鉄道建設で、線路の枕木の敷石として大量の煉瓦が略奪されたためです。

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ハラッパ遺跡 mound AB area 中央エリアだが最基礎部分だけの残念な遺構

くわえてモヘンジョ・ダロ以上に発掘が進んでおらず、おそらく重要な遺構がまだまだ堆積砂に埋まっていると思われます。

ハラッパ遺跡 双胴カップ パキスタン harappan pottery pakistan
ハラッパ遺跡 動物文様付きの双胴カップ カラチ国立博物館所蔵

実際遺丘を歩くと無数の陶器破片や煉瓦が散らばっており、「何か凄いものはないかな?」とついつい宝探しに夢中になってしまいます。もちろん遺物の持ち出しはご法度ですが(笑)。

ハラッパ パキスタン harappa pakistan
ハラッパ遺跡 露出した煉瓦材や陶器破片の山 宝の山か?

繰り返しますが、遺構の大半は基礎部分だけです。
わずかにMound AB Central Areaに立体的な壁が残っていますが、よほど興味がないと都市遺構としての魅力を探るのは難しいと思います。

ハラッパ 遺跡 パキスタン 職人街 harappa mound f worker's quarters
ハラッパ遺跡 mound F worker’s quarters 円形作業台は部屋で仕切られていた

その意味で、建築が残っているモヘンジョ・ダロは世界遺産なのに、同じく有名なハラッパがいまだ暫定リスト行列という明確な差になっています。

ハラッパ 遺跡 パキスタン 職人街 harappa mound f worker's quarters
ハラッパ遺跡 mound F worker’s quarters 左端に炉跡が残る

それでも昔、世界史の授業でたびたび聞いたハラッパに立つ感動はひとしおです。
なんといっても最盛期のBC2600~BC1900年には、2万人以上の人々が暮らした古代都市であり、その歴史と活動跡がこの丘を形成したのです。

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ハラッパ遺跡 併設博物館前の地元のご家族 異邦人への並々ならない好奇心

しかも嬉しいことに、交通不便な田舎なので地元のピクニック客や羊飼いにたまに遭遇するだけで、何ら制約なく気ままにうろつき、どこでも進入できます。

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ハラッパ遺跡 通称「貴人地区」 発掘途中なのだろうか?

周りに人目がないと、やはり悪魔の囁きが頭に聞こえ、柔らかい砂地を掘りたい衝動に襲われます。白い凍石製の四角印章、動物模様の陶器、あわよくばプリミティブな人型土偶が埋まっているかもしれません。
幸いスコップなど持ってるはずもないので、法に触れることはありませんでした(笑)。

ハラッパ遺跡 土偶 パキスタン harappan figure pakistan
ハラッパ遺跡 土偶 カラチ国立博物館所蔵

結論から言うと、あまりにも見所のない遺跡ゆえ考古学に興味のない方にはお勧めしませんが、筆者のように妄想に浸ったり、また往時の都市を空想しながらのんびり遺丘散策するのは、ちょっと優越感の上級者的な楽しみ方かもしれません。

ハラッパ パキスタン レンガ工場 harappa bricks factory pakistan
ハラッパ遺跡近くのレンガ工場 古代と変わらない作業風景?

遺跡の近くに石炭を焚いて焼成煉瓦を造っている工場があります。
高く盛った地中の炉内に煉瓦を入れて、ただ焼くだけの原始的な施設です。
もしかしたら、この景色はインダス・ハッラパ時代から続く、変わることにない原初の風景ではないのかと思い、なんだか煙が心まで滲みるような思いでした。

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ハラッパ復元想像図 併設博物館のパネル

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