travel namibia welwitschia plants
南部アフリカのナミビアに不思議な巨大植物があります。
正式名はウェルウィッチア・ミラビリス(welwitschia mirabilis)、和名はキソウテンガイ(奇想天外)と呼ばれています。
南部アフリカのナミビアからアンゴラの砂漠地帯、いわゆるナミブ砂漠だけに生息する植物で、最大径8m以上、寿命2000年にもおよぶ巨大植物です。
植物については薄学なので本記事は勉強用も兼ねております。どうぞ誤りや勘違いなどはご指摘願います。
ウェルウィッチアという名前は、発見者である19世紀の探検家の名前を取ったそうです。和名は、砂漠万年青*(サバクオモト)ともいいますが、初めて種子を輸入した園芸商が名付けた「奇想天外」が通名として一般的です。一説では、その奇怪な形状から付けられた名前ともいわれています。
*万年青とはスズラン亜科の常緑多年草
植物全体を地質時代の発生順に並べると、以下のようになります。
1.菌類・藻類
2.シダ類(胞子によって繁殖)
3.裸子植物(種子を付ける高等植物で、種子の元の胚珠が裸のモノ)
4.被子植物(同上、胚珠が子房に包まれた植物)
キソウテンガイは裸子植物で、しかもウェルウィッチア科の1属1種(別説あり)という変わり者です。
では端的にどのような植物か?といえば、
1.茎が異常に短く、発芽した双葉が地面で成長を続ける
2.成長の途中、葉が幾度も縦に裂けて、結果としてモジャモジャの塊になる
3.寿命2000年といわれる(現存最古は齢1600年)
4.ナミブ砂漠の特定の涸谷にのみ生息
5.地下数十mの水脈まで根を張る
6.雌雄異株で、雌株に寄生する珍しい昆虫がいる
ナミビア中部に群生場所を回るウェルウィッチア・ドライブという観光ルートがあります。
最寄りの町である大西洋岸に面したスワコプムントから約70km、1時間ほどの距離です。
町を離れるとアスファルト道はいきなり砂漠に入り、さらに進むとやがて砂混じりの未舗装路になります。
さらに進むと何もない土漠にポツン、ポツンとモジャモジャがへばり付いているのが見えます。最初は齢の若い小さな個体が多いのですが、次第に大きな個体も出現してその存在感に驚かされます。
一般に砂漠の植物は、まるで枯れた稲わらのようにぼさぼさして色味がないのですが、キソウテンガイは圧倒的に巨大で、葉が分厚くて緑色もなかなか鮮やかです。
ですから植物にもかかわらず、なにか動物感があって、いきなり襲ってきそうなオーラが漂っています。
撮影のためそばに寄ると、石のように硬くてごつい葉にまたまた驚きます。
まさしく奇怪な形、奇想天外です。
植物には心がある、という最近の研究報告を聞きました。
もし事実ならキソウテンガイはまさしくはがねの精神力だと思います。
何もない景色のなかただ砂嵐に吹かれ、暑い昼と凍えそうな夜を耐え忍んで、しかも2000年も生きるのです。キソウテンガイを目前に、流れた時間を想像するとなんだか感動します。
キソウテンガイの見学に訪れるなら、花が咲く季節が良いです。
雌雄異株の成長した雄蕊と雌蕊が見学できるし、先述の珍しい昆虫がごそごそしてます。
ちなみに日本の植物園でも見れるようですが、齢が浅いのでモジャモジャまで成長していないようです。