travel botswana okavango
カラハリ砂漠。厳しい環境に野生動物の楽園がありました。
アフリカ南部の内陸国ボツワナは日本の約1.5倍の広さですが、国土の大半は砂漠に占められています。カラハリの広さは定義によって幅がありますが、日本の2.4~4倍、およそ930,000~1,600,000k㎡と見積もられ、ボツワナを越えて周辺の国々まで広がっています。
この内陸砂漠は標高が800~1200mもあるため、乾燥にくわえて昼夜の寒暖差が苛酷な環境を作っています。
この真っ只中にあって、まさに「楽園」ともいえるのがオカバンゴ・デルタ(三角州)です。
隣国ナミビアを挟んで北西に位置する国アンゴラの山地から発したオカバンゴ川が、はるか1,600㎞を流れてカラハリに至り、その砂に消え去る前に形成した広大な内陸の三角州です。
広さは18,000k㎡以上、日本の四国を凌ぐ広大な湿地帯です。
デルタ内部では入り組んだ河川が鮮やかな緑地を育み、殺伐としたカラハリとは対照的な色彩を見せます。
当然ながらここは野生動物の楽園で、一部のサファリ・ファンには古くから知られていました。しかし貧弱なインフラゆえに一般観光客には近寄り難い存在で、かつては自前の軽飛行機用滑走路を備えた超高級ロッジの客だけが楽しめる「最後の野生王国」でした。
オカバンゴの動物密度は圧倒的です。
個体数の減少が心配されるアフリカゾウも珍しくありません。大群にも度々出会います。ただ非常に狂暴なので撮影は冷や冷やものです。
アフリカゾウはライオンさえも蹴散らす事実上の「百獣の王」。わがもの顔でキャンプサイトへも侵入してきます。
ちなみにサファリ用の四駆ランド・クルーザーの重量2トンに対してオスの成獣は5トンにもなります。彼らの機嫌を損ねたら、ひとたまりもないのは言わずもがな、なのです。
早朝、珍しい瞬間に遭遇しました。レオパードの狩りです。
自分より大きいオスのインパラを捕えていました。辺りでは仲間のインパラたちが切ない鳴き声を上げています。インパラはまだ生きていて、レオパードも動けません。遠慮なく至近距離から撮影できました。
オカバンゴのデルタ内では沼地を越えることもあります。エンジンが水没しないように、車体が浮かないように、泥底でスリップしないように慎重に通過します。
世界遺産とはいっても「公園」ではないので、ワニもライオンもそこら中にいます。車のトラブルは致命傷です。
どこまで行っても平坦なデルタでは、ヘリコプター遊覧が最高です。初めて訪れたときはセスナしかなかったので撮影がたいへんでしたが、ヘリコプターならドアも外してくれるので自由なアングルで撮影できます。
空中散歩をお楽しみください。
最後の写真の葉脈のように見える筋。
実はこの筋はゾウが沼地を通り抜けるときにできた道筋なのです。
ゾウってやっぱりすごいです!
参照 月刊 Newton 2016年5月号 カラハリをうるおす大湿地帯 オカバンゴ・デルタ(写真・キャプション 鈴木革)