travel india sikh golden temple
インド人といえば頭にターバンを巻き、髭モジャモジャの男性を思い出しませんか?
ターバンはインドを代表する装束のようですが、実はシク教徒の男性が着けるもので、戒律のために切ることのない長い頭髪が収められています。
同じ理由から髭も伸ばしたままで、インドのイメージに一役買っています。
注:日本での一般的イメージで、ターバンには深い歴史があり、正確には「ターバン≠シク教」です。
多宗教のインドではヒンドゥー教徒が人口の約80%を占め、イスラム教徒が約14%、キリスト教徒が2%強、そしてシク教徒の1.7%が続きます。ちなみに仏教は0.7%と、発祥国としては寂しい数字です。
なぜ少数派のシク教徒がインド人イメージの定番になったのでしょうか? 実は筆者も知らないので、ご存じの方はコメントをお願いします。
インドでは少数派のシク教ですが、その総本山であるパンジャブ州のゴールデン・テンプルは一見の価値があります。
寺院はパンジャブ州の古都アムリトサルの中心にあり、首都ニューデリーから飛行機なら1時間強、鉄道なら9時間(約500km)ほどかかります。
注:アムリトサルがあるパンジャブ州は、パキスタンのパンジャブと同一文化圏で、両国の大穀倉地帯。古くから栄えた歴史的な地域です。
シク教は開祖ナーナク(AD1469-1538)がヒンドゥー教とイスラム教を融合させた宗教で、人間の平等を説いてカースト制度を非難しました。
教徒はグル(師)の忠実な弟子であるとして、初代のナーナクから第10代グル(~1708年)まで引き継がれます。そのなかの第5代目グルがゴールデンテンプルを建てました。
ゴールデンテンプルは、金色の礼拝堂を中心に置いた巨大な複合施設です。
礼拝堂は120×150mの人工池の中央にあり、池は美しい外回廊で囲まれています。礼拝堂に続く橋には、いつも信者たちが行列をなしています。
インドの度肝を抜かれそうな、カオスティックな街からわずか一歩、寺院に入るとまるで別世界です。
多くの信者で賑わっていますが、聖地特有の空気が人々の気持ちまで切り替えるのか、穏やかで爽やか、そして凛とした雰囲気に包まれます。
老若男女問わず、それぞれ美しい表情で礼拝堂に敬意を示します。
歴史大国インドには数えきれないほど聖地がありますが、ゴールデンテンプルほど「端正」とか「整然」という言葉がふさわしい場所はないかもしれません。