alexander’s journey side turkey
前4世紀、アレクサンドロス大王はペルシア討伐に出発
中東を経てインドにいたる旅を21世紀にたどります
前334~333年の冬
アスペンドス無血開城の約束に騙された大王は、さらに東進してシデに向かいます。
(結局、後にアスペンドスへ再び進軍、開城させた経緯は前頁)
「東征記」におけるシデの記述は、住民が独特の言葉を話す人々である、と描かれるだけです。
しかし同書の訳注には、『未解明のシデ語は、アスペンドス語などとは異なる土着の原アナトリア語の音韻形態を示す』と、その特異性が伝えられ、なにやら魅力的な場所であることが推察されます。
確かに地中海に突き出した小半島は、内陸部の古代都市とは異なり、遺跡と街の調和が美しくて別世界のようです。余談ながら、その美しさと快適さから、シデには結局二回も訪れました。
シデはアンタルヤの西60km、アスペンドスの南東27kmにあります。
地中海に向けて南東に突き出た長さ1km、幅400mの半島が古代シデになります。
古代シデは紀元前7世紀に、ギリシア人の入植によって造られた街だそうです。
リュキア地方(クサントスなど小アジア西の海側)と同じく、山塊が海に迫るパンフュリア地方(リュキアの東隣)にあって、小半島は海上交易の要衝として栄えたようです。
半島の付け根部分に古代門アーチが残っており、付近に円形劇場やアゴラなど主要遺跡が建っています。
アーチを越えると、いかにも港町といった風情の美しい街並みになります。
むろん観光地ですから、賑やかなたたずまいの土産物屋やカラフルなレストランもあります。
嬉しいことにこの付近に快適で可愛い宿があり、投宿するなら主要部は歩いて回れるうえ、夜景も含め地中海の美しい一日が堪能できます。
おすすめは半島先端のアポロン神殿跡です。
石柱はほとんど倒壊していますが、逸れもまた風情です。大理石の白さは格別で、神殿越しに見る地中海の、朝夕の美しさは例えようもありません。
いろいろな国や場所に行きましたが、珍しく「ここなら住んでみたい」と思える素敵な町です。
とはいえ、小さな町ですから、多分1ヶ月も暮らしたら、あまりの狭さに飽きてしまうでしょうが。
次は難攻不落の山岳城砦都市テルメッソスに向かいます。
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参照「図説アレクサンドロス大王」森谷公俊 /鈴木革 「アレクサンドロス大王東征記」アッリアノス
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