alexander’s journey swat pakistan アレクサンドロス大王の東征
紀元前4世紀、アレクサンドロス大王はペルシア討伐に出発。
ギリシアから中東、エジプトを巡り、中央アジアやインドにいたる旅です。
その旅を21世紀に復元して、彼が見た風景を探します。
ーアレクサンドロス大王の足跡をたどる旅、そのきっかけになったのがパキスタン旅行でしたー
2000年5月、初めてパキスタンを訪れました。
ヒンドゥークシュ山脈が連なる北部辺境地域では、雄大な山々と谷間に繰り広げられる人間の暮らしに驚きと感動の連続でした。
なかでも風光明媚なスワート渓谷は、広い谷間に美しい田園が続き、有名なガンダーラ遺跡の数々に感激しました。
そして意外なことに、その遺跡のひとつでアレクサンドロス大王の伝説を聞くことがあって、軽い衝撃のような驚きを覚えたのです。
アレクサンドロス大王といえば「古代ギリシアの王で、世界帝国を築いた人物」、という基礎教育の知識しかなかったので、よもやパキスタンの辺境でその名前を聞くとは、まるで不意打ちに遭ったような感じでした。
過去にはギリシアはじめ中東へも幾度か訪れた経験もあり、ギリシアからパキスタンに至るまでの途方もない道程に、少なからず実感があったので「衝撃」に見舞われたのでしょう。
その遺跡とはウデグラム城砦という険しい山城で、「アレクサンドロスが攻めた城」という言い伝えでした。
実際の城砦の年代は中世頃と見られており、紀元前のアレクサンドロス大王との関係は無いのですが、その後に調べてみると確かにアレクサンドロス大王はスワート地方へも訪れており、この地でいくつかの戦闘にかかわった史実がありました。
この驚きがきっかけとなって、「アレクサンドロス大王の足跡を辿る」という厄介な旅が始まることになりました。
そうはいっても行動開始まで5年を要し、2005年にまず北部ギリシアに足を伸ばすことにしました。
ギリシアはアレクサンドロス大王の生誕地です。
足跡を辿るといっても21世紀のことですから、飛行機や車など文明の利器を使いつつも、なるべく陸路を刻みながら、アレクサンドロス大王の見た風景に出会う旅を開始したのです。
次回は、ギリシアのアテネ考古学博物館を訪れて、アレクサンドロス大王の図像を探します。
参照「図説アレクサンドロス大王」森谷公俊 /鈴木革 「アレクサンドロス大王東征記」アッリアノス
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