alexander’s journey termessos turkey
前4世紀、アレクサンドロス大王はペルシア討伐に出発
中東を経てインドにいたる旅を21世紀に歩きます
前334~333年の冬
アスペンドスを開城したアレクサンドロス大王は、フリュギアに向けて進軍を開始します。
フリュギアとは古代地名で、小アジアの北西部と中央部の高原地帯です。
その途中、マケドニア軍は山間の要塞都市テルメッソス(過去記事フェティエと同じ古代名の別都市)を通ります。テルメッソスは標高1000mの険しい山頂にあるので、軍はいったん山城の手前で陣を張って野営の構えを見せておき、やがて手薄になった敵の警備の間隙を突いて山道を突破しました。
これは敵城の地形があまりにも険しく、少ない手勢でも固い防御ができること、つまり攻める側には非常に不利であることを見て、大王はテルメッソス攻略に拘ることなくスルーしたのです。アレクサンドロスの東征において、この交戦回避は珍事としてしばしば取り上げられます。
テルメッソスは地域の中心都市であるアンタルヤの北西約24kmの山中に位置します。現在は整備された車道があるので、まず北西に進み、やがて南西に分岐するつづら折れの山道を10kmほどで遺跡の駐車場に到着します。アンタルヤから駐車場まで約1時間ほどです。
駐車場からさらに1kmほど、険しい谷沿いの山道を汗だくで歩きます。やがて砦跡などの遺構が見えてきたら、遺跡の中心部はすぐそばです。
遺跡はかなり崩れていますが、山城としての風情に溢れています。大劇場の最上段に立つと全体が俯瞰でき、その険しい地形は「小空中都市」といった感があります。「これはさすがのアレクサンドロスも諦めるな~」などと、攻城を断念した英断にも賛同できるところです。
テルメッソスは見落としてしまいそうな小遺跡ですが、小アジアの大自然と奥深い歴史を知るうえで、なかなか貴重な都市遺構です。ここもまた、アレクサンドロスに導かれた隠れた名跡と言えます。
次は同じく小アジア内陸の小遺跡サガラッソスに進みます。
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参照「図説アレクサンドロス大王」森谷公俊 /鈴木革 「アレクサンドロス大王東征記」アッリアノス
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